「MA(マーケティングオートメーション)」と「インサイドセールス」

皆様は、MA(マーケティングオートメーション)という言葉を耳にしたことはあるだろうか?

私自身、ここ最近MAとインサイドセールスをテーマとしたセミナー講演を行う機会がかなり増えてきている。セミナー来場者数も少し前までと比較して増加傾向にあることから、多くの方々がこれらのトレンドワードに対して敏感に反応しているように思える。

■MA(マーケティングオートメーション)運用で成果を出すのが難しいわけ

MAとは、その名が示す通り、マーケティング活動におけるOne to Oneのコミュニケーションを自動化するためのツールだ。ユーザーのアクションやステータスによってメールやWEBコンテンツの個別配信をするなど、あらかじめ設定したシナリオに基づきマーケティング活動を運用することができる。

MAを使うことにより見込みリードを商談化するための活動にかかる工数が大幅に削減されるので、特にBtoBにおけるデマンドジェネレーション(=確度の高い商談を生み出すための需要創出活動)において非常に重要なツールの一つとして認識されつつある。

セミナーにご来場いただいた方々のお話しをよくよく聴くと、「MAを導入すればマーケティングを容易に運用できるようになる!」と捉えている方が少なくない。しかし、そんなイメージをよそに、「MAを導入したが成果が出なかった…」と落胆している企業が多いのもまた事実なのである。

MA運用で成功するためには、しっかりとした戦略と体制のもと、PDCAを回すことが必要不可欠である。MA運用の失敗例で多いのは、この「戦略と体制」を整えずに導入を急ぎ、結局運用がままならず、「ただのメール配信ツールになってしまっている」というケースである。

そしてもう一つ。BtoBの場合、商材特性も大いに関係ある。

BtoBの商材は一般的に高単価で、購入行動がすべてWEB上で完結するケースは少ない。このような購入障壁が高い商材を扱う企業は、ターゲットに少しでも付加価値を感じてもらえるよう、いわゆる「営業」と呼ばれる人が顧客と対話をしてクロージングを行ったり、WEB中心の購買プロセスだったとしてもどこかのタイミングでリアルコミュニケーションを挟みフォローをしたりするのが一般的である。 デジタル上のコミュニケーションだけを自動化・効率化しても大きな成果が得られないのは、当然と言えば当然なのだ。

■営業効率化の要、インサイドセールス その効果と現状

前述のような、ターゲットに対する訴求・啓蒙といった活動は全て「営業」に任せっきりにしているのが、多くの企業の実情である。これではいつまでたってもマンパワーに頼った営業スタイルから抜け出すことが出来ずに、営業の頭数以上の業績拡大は難しい

その解決策として近年注目を浴びているのが、インサイドセールスである。

「インサイドセールス」…つまり、「非対面営業」とは、ターゲットのニーズの段階を引き上げ商談に近づけるための活動を行う職種である。従来であれば営業に任せきりだったターゲットへの「啓蒙」の部分をインサイドセールスが担うことにより、営業が本来のコア業務である提案や顧客理解等に注力する環境を作り、受注率向上、生産性向上を実現させるのが目的で、その名の通り、メールや電話といった非対面コミュニケーションが業務の中心となる。

マーケティングの先進国・アメリカでは、いわゆる「営業」、つまりフィールドセールスよりもこのインサイドセールスの割合の方が高くなっているほどで、近年では日本でも採用する企業が増加している。

しかし、非対面でのコミュニケーションを中心としたポジションになるため、いわゆる「テレアポ」と変わらない活動に終始している企業が少なくない。もちろん、テレアポも「営業による訪問」を目的とした活動として捉えればたしかに効果がある。しかし、ターゲットの情報収集能力が飛躍的に向上している現代において、たいした精査もせずに訪問を取り付けても、受注するのは至難の業だ。

■ゴールを見据えたマルチコミュニケーションの積極活用が鍵

インサイドセールスを行う上で大事なのは、「アポを獲得すること」ではなく、ゴールを「その商材にとって最も受注効率が良い状態(= キーパーソンが検討可能な状態)のリード創出」に設定して、ニーズの育成&顕在化のための非対面コミュニケーションを積極的に実行することである。

以上を踏まえて、弊社では、インサイドセールス人材に必要なスキルセットを以下のように考えている。

  • ①TELメールと言った非対面コミュニケーションツールによるターゲットとの対話
  • ②MAを用いたWEB行動のトラッキングとコンテンツ配信
  • ③ターゲットの個別事情に合わせた簡易なコンテンツ企画制作
  • ④メールマーケティングの企画と実施

電話やメールといったコミュニケーションスキルに加えて、MAを用いたターゲットのデジタル行動の観測や、顧客ごとに最適なコンテンツを提供するための企画スキルも備わることで、最適なアプローチを行い、サービス/商材に対する興味関心を高めた状態で営業にパスすることができ、インサイドセールス本来の意義である「営業効率化」が実現するのである。

大事なのは「アポ取りは時代遅れだ」とか「デジタルマーケティングの方が優れている」と論じることではない。「MAはWEB担当者に運用させよう」「インサイドセールスは電話だけしていればいい」といった先入観で施策を分断させるのではなく、マーケティングを成功させるために、ぜひ個別のリアルトークやデジタル上でのコンテンツ配信を絡めた、マルチコミュニケーションの積極活用を行ってみてはいかがだろうか。

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