法人営業組織におけるマーケティング導入のポイント①
  マーケティングの導入に向けてまず考えるべきこと

高度経済成長時代の営業文化からの影響を、よい意味でも悪い意味でも現状も受け続けている営業組織は意外と多いのではないでしょうか?
法人営業の全体としての生産性向上、より長期的な成果への期待からマーケティング施策を導入するとき、営業セクションとの課題や現状の共有は欠かせません。また、どう組織を創っていくかも重要な課題となります。法人営業のコンサルティングを行った経験からいくつかのポイントを記したいと思います。

客観的な事実情報をもとに組織全体としての課題を共有する

以前ある大手情報企業がマーケティング施策を導入するにあたり、お客様と営業マンの意識調査を行ったことがあります。いくつかの取り組みはありましたが、ここでは一つ議論になったポイントを紹介します。

その企業様では取引金額の大きなお客様も少ないお客様も等しく営業マンが担当しており、1営業マンあたりの管理顧客数は200社ほどになっていました。経営サイドとしては営業マンにはソリューション営業力を高めてもらい、より取引金額の多いお客様か新規の大型案件に注力させたく、少額取引のお客様に関してはコールセンターやメールでの対応にしていきたい方針でした。

しかしその方針を発表すると、営業担当の多くから「このお客様は長きにわたって私が担当しており、自分が担当を外れると取引がなくなってしまう」といった反対意見が多数出てきました。そこで実態を全体で把握しようとお客様と営業マンにアンケート調査を行いました(実際は個別のヒアリング調査も行いました)。営業マンに対しては「自分が担当から外れると、取引が低減またはなくなってしまうと思われるお客様はどのくらいいるか?」、お客様には「当社の担当が変更またはコールセンターからの定期的な情報提供に変わることで不具合があるか?」という内容でアンケートを行なったところ、全く正反対の結果が出ました。

営業マンからは、「自分が外れると、実に8割のお客様との取引が少なくなる、もしくは無くなる」という回答だったのに対し、お客様からの回答では、逆に8割の方が「定期的にきちんと情報提供があれば別に担当は誰でもよいし、コールセンターからで問題ない」との内容でした。

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この企業様では、この結果をもとに顧客層別の対応としてマーケティング施策をとりいれ、生産性を飛躍的にアップさせました。また営業マンも結果的には重要な顧客に集中することができるようになり、各人のソリューション力も高まっていくこととなりました。

実際この内容の結果がどうかと言うことでなく、営業サイドが納得するようなプロセスをしっかりと設計、実行して、組織全体としての課題や現状共有を行っていくことが重要です。

誰をマーケティング担当にするか?

まずはマーケティング担当を配置するところから始めようと動き出すときに、誰を担当にするかというのも大きな問題です。現状日本ではBtoBマーケティングに精通している人材が少なく、各企業でも頭の痛い問題になっています。
一般的には営業から配置転換する、外部から採用するということになると思います。外部から採用した方が専門性の高い人材を獲得できる可能性もありますが、昨今の求人市場の状態や自社の営業の特殊性などを考えると、自社の人材から選別し、育成していくものよい選択肢のひとつといえるでしょう。
自社の人材から選定する場合、営業マンからの配置転換が一番よいと考えられます。営業の現場がわかっているからこそ、マーケティングの施策にリアリティが出るはずだからです。ただ、選定においていくつかポイントがあります。

ひとつは、営業マンとしてある程度の業績を上げている人材であること。更に言うなら、トップ営業マンが望ましいです。実際にマーケティングの施策を実行するにあたり、いろいろと営業サイドと意見交換することになりますが、どうしても営業としての実績がある程度ないと悪い意味での営業のいいなりのマーケッターになってしまう可能性があるからです。また営業からの信頼も実績のある方が当然勝ち取りやすくなります。

そしてもう一つが仕事の進め方としての特徴です。高い業績を上げる営業マンには、唯我独尊自分なりのやり方や独特の感覚で結果をだす人もいます。「あれはすごいけど真似できない」とか「どうして売上が上がるのかわからない」などと言われるタイプの営業マンです。一方、トップクラスの実績を上げながら、自分のノウハウを他者にうまく伝えられるタイプの営業マンも存在します。その人が作った企画書をみんなが利用していたり、また他のセクションとも上手にコミュニケーションをとり仕事が進められるタイプの人材です。当然ですが、マーケティング担当としては後者の人材がよいと考えられます。
トップクラスの営業を現場からはずしマーケティング担当にするのは短期的にはリスクを伴い慎重な判断が必要と思われますが、長期視点で人材育成を考え、後任の育成などもしっかりと準備してから進めていく必要があります。

今後、日本の法人営業組織でもマーケティングの導入が進んでいくと思われます。
少子高齢化が進む中、マーケティングを導入せず、古いスタイルの営業を行っている組織は若手の営業マンが採用できくなる時代が来るかもしれません。中長期的な視点で準備して、マーケティング導入をしっかりと進めていきたいものです。

今回のポイント

  • 組織全体で課題や現状の共有をすることが重要
  • 社内の人間をマーケティング担当に任命するのであれば、信頼と実績を持つトップ営業マンがベスト
  • 短期的な判断ではなく、人材育成も見越した中長期的な視点での導入準備を!
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