法人営業組織におけるマーケティング導入のポイント その④
新規営業の実施プロセスによる成果の違い

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萩原です。オウンドメディア設立当初から始まったこのシリーズも、今回で第4弾になりました。

今回は、法人営業組織のマーケティング導入状況による新規受注のパフォーマンスの違いについて触れてみたいと思います。

「新規受注1件」の重みは平等ではない!?

一般的には、営業マンが様々な新規営業活動を行い受注することによる成果は、その受注額(もしくは受注時の想定粗利)によって判断されるかと思います。

ただ、その新規受注が、後々組織にどの程度の貢献ができるのかは、「何をポイントにして受注したか」によって大きく変わってきてしまいます。

下の図をご覧ください。

ずはん

私はこの図を「マーケティングバランスシート」と呼んでいます。

詳細な説明は割愛しますが、新規受注の金額が同じであっても、その後生まれる利益については受注の方法によって違う…ということがわかっていただけますでしょうか。

このシートでは、受注の方法を「営業活動のみ」「販促による一定のセグメント」「マーケティングによる見込み顧客試算構築」の3つに分類しています。

その中でも下記の2つの受注方法について、次段より詳細に解説していきます。

  • 「販促による一定のセグメント」
    ―顧客生涯価値の高い企業から狙って受注する
  • 「マーケティングによる見込み顧客資産構築」
    ―蓄積した情報を利用して見込み顧客を育成して受注までつなげる

セグメントして顧客生涯価値の高い企業からの受注を狙う

ずはん

「その受注先がどんな会社なのか」…言い換えれば、「その受注先の顧客生涯価値(=LTV)はどれくらいか」ということを考えながら受注をすることは重要です。

一度受注をすれば、その後のリピート受注がかかる場合、そもそも定量的な収入になるモデルの場合、最初の受注からアップセル・クロスセルをしつつ取引を拡大していく場合…このように、ほとんどのBtoB企業の場合、顧客との取引はある程度継続的なものになります。

そして、一度取引があるお客様からの既存受注は、新規受注と比べ、一般的に営業生産性が10倍は高いと言われています。要は、初回の受注より、その後の取引拡大の方により高い価値があるのです。これは事業全体の生産性に大きな影響を与えます。

そのため、その会社が新規受注後にどのくらいの顧客生涯価値の可能性があるか、企業のデータや特性、マーケティング活動フェーズでのヒアリングによってある程度想定することができるので、戦略的に受注をしていくことが非常に重要なのです。

しかし、顧客との接点創出からすべて営業が担当している場合、どうしても営業感触がよく、すぐに話になりそうなところばかりを追いかけてしまいがちです。

なぜなら、一般的には営業マンは「期間業績」をミッションとしているがゆえに、受注スピードを重視してしまうからです。そこで「顧客生涯価値」という中長期的な発想のもとに活動できる営業マンは、限られてしまうのが現状ではないでしょうか。

そんな状態を解消するため、マーケティング的視点を取り入れてみましょう。

ターゲティングや具体的な社名のリストアップ、ヒアリングやアンケートなどによる情報収集によって、顧客のポテンシャルを見極め(=クオリフィケーション)までをマーケティング部門で担当し、渡されたリストで営業する場合、新規受注が生涯価値の高い顧客になる傾向があります。(前掲のマーケティングバランスシートでは、これを3年後受注倍数という言葉で表現しています。)

新規受注時に受注先をしっかりと見定め、継続的に商談が発生するような新規顧客と関係性を築くことができれば、「営業活動のみ」で受注した場合の3年後受注倍数に大きな差が出てくるはずです。

顧客情報資産を蓄積して見込み顧客を育成する

ずはん

もう1つの視点が、新規の営業プロセスおいて蓄積される顧客情報です。

営業プロセスのすべてを一人の営業マンが担っている場合、受注まで至らなかった見込み顧客の情報は、組織として蓄積されません。もちろん、商談になった顧客はSFAなどで組織的に管理されますが、もう少し手前の見込み客段階や初期接点の段階の顧客は、放置されることになります。

しかし、この中に将来的な有望見込み客が存在しているケースが多数存在するのです。先方のタイミングを考慮してアプローチする、商材の訴求ポイントを少し変えてみる、参考資料を送付してみる…などなど、やり方次第で、商談まで持ち込める可能性はいくらでもあります。

一方、マーケティング部門がマーケティング・オートメーションなどのツールを使ってプロセス全体の顧客情報を管理すれば、その実施プロセスにおけるコミュニケーションの情報は見込み客資産として組織に残るので、2回目、3回目の商談チャンスにつなげていくことができます。

また、そうした顧客から得た情報は、事業業績の将来予測、製品へのフィードバック、またブランディング戦略など、営業活動のさらなる効率化のために活用することもできます。

最後に

ここまで、マーケティングと連携した営業手法を取り入れるメリットについてご紹介してきました。

前回の記事でも少し触れていますが、特にマーケティング部門のない企業でも、優秀な営業マンであれば、既にこういったポイントを考慮しつつ活動しているかもしれませんね。

法人営業にマーケティングを導入することをただ新規受注1件の業績を上げるためだけのPL(期間損益)的な施策とはとらえてはいけません。

よくエムエム総研のセミナーでもお話ししている内容ではありますが、マーケティングは営業の下部組織ではなく、営業部門をも内包する概念です。

将来にわたっての資産を構築していくための戦略的施策としてとらえ、中長期的な視点を持って活動していくことで、企業は大きな果実を手に入れることが出来るのです。

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